こんにちは、yuです。
卒業して少々経ってしまいましたが私が通っていた京都大学工学部物理工学科(通称物工)の概要・在学中のことなどを簡単にまとめてみたいと思います。
この記事の目次
1回生:基本一般教養、でも配属に影響
無事大学入試をパスして入学。
初めての一人暮らしを京都で始める訳ですがそれはもう楽しいことばかりでした。
大学のそばには銀閣寺があり、一般教養を受ける吉田南の校舎からは大文字焼の火床が見えたりと入学早々から京都に浸ると思います。
新歓ムードに流されつつも前期はそこそこ真面目に授業に行っていた私。思いのほか単位が取れたので後期で余裕をかました結果、後期には微積・線形・基礎物理化学を落としてしまいました。。。
なお京大では単位が降ってくると世間では言われていますが、これに関しては本当だと思います。1回生で上記の単位を落としてしまいましたが再履修で楽々取れたので結局単位の取りやすい先生を選べば難なく取得できます。
講義の種類についてですが、1回生は基本的に一般教養がメインであり、専門はほぼありません。
専門の講義では物理工学総論と呼ばれる物工で2回生になる時に行われるコース配属のコースの説明みたいな授業があります。
この授業でだいたい行きたいコースを決めます。
コース配属は一応成績順で振り分けられるので人気の高いコースに行きたい学生は1回生の時からまじめに勉強をしている印象。
ただ人気の出るコースが年度によって異なるので自分の希望しているコースがその年度で人気なのかはわからないのが難点です。
そうは言ったものの大体の学生がそこまでがっつり勉強をしている訳ではないので周囲の友人を見ていると普通にテスト前に単位を落とさない程度に頑張っていれば志望コースには行けている模様です。
またごく一部の人にしか該当しませんが1回生終了時の取得単位数が少なすぎるとコース配属が志望に関係なくランダム配属になります。
友人の中には遊びほうけてもとりあえずランダム配属にならない様に頑張って最低単位数すれすれで回避する人もいれば、行きたいコースはあるが成績が悪すぎるため敢えてランダム配属になる強者、そもそもコースはどこでも良いが取得単位数が全く足らずランダム配属になる人など様々でした。
2回生:コース配属
とりあえず2回生時に配属されるコースについて簡単に説明します。
・機械システム学コース(通称:機械)
人数が最も多いため多数がこのコースに配属される。特にやりたいことがなければ行くのが無難なコースである印象。
スターリングエンジンを作ったり、CADを用いた実習もあってモノづくりを味わえるコース。
・宇宙基礎工学コース(通称:航空)
優秀な人が行く印象。物工の中にはこのコースに行きたいがために物工に入って来た人も多数。卒業単位の縛りがそこそこあって3回生から4回生に上がれない人もちらほら。
京大の航空は実際に飛ばさずに理論だけでを追求するみたいなのも聞きました。
・材料科学コース(通称:材料)
1回生のうちに散々楽だと聞かされるコース。年度によって人気・不人気が別れるらしい。主に金属関係の知識を習得することになる。実は京大の材料は結構良いらしい。院に上がる時に内部進学の枠が少なく、それに漏れた人で東大に行く人もいる。
・原子核工学コース(通称:原子)
原子力関係のことを学ぶ印象。配属人数も少なく、存在が割とマイナーなコース。素粒子、原子核、量子関係のことを勉強するところ。
・エネルギー応用工学コース(通称:エネ応)
エネルギーというと取っつきやすい気はするが中身は色んな専門をごちゃまぜにしたコース。エンジンなどの機械や燃料電池の材料など他のコースの授業を薄く広く取っている印象。材料が楽だと言われているが授業選択に縛りがないため、エネ応が最も楽な気がするのは私だけではないはず。
2回生のうちはまだまだ一般教養の授業がメインであり、専門の講義は少ししかありません。
したがって物工では4年間のうちで最も暇な学年が2回生と言えるでしょう。
2回生からは一般教養での難関である語学もコールと呼ばれる自学習の英語の授業を選択できるようになり、語学の出席の必要性から解放されることもそのことの一因を担っている気がします。
専門は機械系の学問なら熱力学や材料力学、材料系の学問なら物質材料基礎学など、どの分野も専門のベースとなる科目がちらほらあります。
この時に勉強する内容は院試でやり直すので、「あぁ、あの時全然解っていなかったけどそういうことだったのね。」と思うようになります。
3回生:専門が本格化、実験開始
3回生になると基本的には一般教養が終わり、専門の授業ばかりになります。私はまだ一般教養の単位が揃っていませんでしたが。。。
ちなみに専門というと難しい印象を抱かれる方が多いかと思いますが、実際はその逆でした。
物工では一般教養のB群と呼ばれる理系科目の単位のほうが取るのが難しく、専門の単位はそれこそ降ってくるようなものでした。
また物工では途中で留年が確定することはなく、3回生から4回生に上がるまでに112単位を取得しておけば良いといった進級要件でしたので3回生前期から進級するのに焦ってくる人がちらほら出てきます。(進級要件は当時の情報なので現在はどうなのかはわかりません。)
平日には週に数日午後から実験が入ってくるので中々全休日を作るのが困難になってくるのも3回生の印象です。
各コースでどんな実験をするのかは正直知らなかったので物工のホームページを参考にしつつまとめてみました。
(参考:京都大学工学部物理工学科)
機械
金属材料・材料力学・熱力学・流体力学・生産・総合に関する実験やライントレーサーの設計製作など。
ものづくりのできる人材を養成することを目的としたコースだけあって設計の基本を学べます。
航空
電離気体・固体力学・制御工学・流体力学・分子気体力学に関する実験など。
航空宇宙関連企業の技術者を講師に招き、演習も行っています。
材料
状態図と凝固・熱力学・電気化学・材料物性・拡散と相変態・分光と回折などの実験。
主に金属材料を対象に材料の製造などの基本を学べます。
エネ応
状態図・熱流体力学・振動・電気化学・結晶材料・相変態・熱移動と拡散などの実験。
物工の専門で学ぶ事項の基礎を実験を通して学ぶことができます。
原子
原子炉実験所で基礎的な原子炉物理の実験。ほかには機械工作や製図、電気関連のことも学ぶ。
京大には原子炉実験所があるのが強みだと思います。
コースごとに特徴は違いますがどのコースに行っても工学部に入ったことを実感できる実験となっています。
そこまで厳しい実験もなく、どちらかと言えば楽しんで実験をすることができます。
また普段の生活で部活やサークル活動では上にも先輩がたくさんおり(理系学部が基本院まで進学するため)、下にも後輩がたくさんできるので学生時代で最も楽しい時期だったと思います。
4回生:院試勉強、卒論研究
4回生になるとついに研究室配属。
研究室に配属されるとすぐに研究を開始する!というわけでもありません。
もちろん中には配属されてすぐ研究に忙殺される研究室もありますが、学部生のほとんどが大学院に進学するので大学院入試が終わるまでは研究は軽くして院試勉強に当てている場合がほとんどです。
したがって院試のある夏まではのんびりできる場合が多いです。
院試は基本的に所属研究室に代々受け継がれている院試勉強用のノートを参考に過去問に取り組んで勉強します。
科目としては機械力学、流体力学、熱力学、材料力学(まとめて通称四力)や材料関係の基本的な内容、大学数学といったものが挙げられます。
この時にしっかり大学で学んだことをやり直すのでその知識を研究に活かせることができます。
院試は専攻をまず志望し、その次にその専攻内にある研究室をいくつか志望するといった形で出願します。
したがって院試の成績が良くない場合は志望している研究室と異なる研究室に配属されることになります。
4回生時の研究室配属に不満がある人やほかにやりたいことがある人以外はだいたい4回生時の配属研究室を志望しますが院試の成績が良くないと大学院からは別の研究室に配属されることになってしまいますのでみんなそこそこ勉強します。
院試に関しては舐めてかかって落ちる人もいますので注意しましょう。
院試が終わるといよいよ研究が本格的に始まります。
といっても院試が終わって合格発表があるともう9月。
卒論公聴会の2月までほとんど時間がありませんので上に付いている先輩のお手伝いをしつつ、データを集めて論文を作成するといった形です。
卒論の公聴会は緊張しますが初めての発表ですので良い機会だったと思います。
そして卒業です。
京大の卒業式といえば仮装が有名ですよね、私はしませんでしたが。笑
振り返ってみてもすごく充実していたのか本当に早い京大生活でした。
まとめ
高校時代周囲に京大を目指す人もおらず、情報量が非常に少なかった私。物理が得意だったことから入ってから何をするのかも知らずに単純に名前で物工を志望しましたが物工を選択して良かったと思います。
物工は人数も多く、友達も出来やすい上、他の工学部の学科の人々よりもアクティブな人が多い印象でした。そのためか周囲に恵まれた学生生活を送ることができました。
また入ってからの選択肢も広いので、もしまだ将来について決めきれていない方は一度物工を進学の選択肢に入れてみてはどうでしょうか。
おまけ
京大受験前にはこちらの書籍を読んでモチベーションをあげていました。
理Ⅲのものは毎年出版されていますが、京大のものは1冊しか出ていません。
毎年出して欲しいですね。