こんにちは、yuです。
昨年京都大学の本庶佑先生がノーベル医学生理学賞を受賞されたことで、日本でも改めて注目された免疫学。
免疫学はいままでで学んだ基礎医学と異なり、単純暗記ではなく全体を俯瞰的に見てそれぞれのつながりを意識することが求められていました。
それでは簡単にどのような勉強をしたのかなどを振り返ってみます。
この記事の目次
免疫学とは
免疫学とは、生体の持つ免疫機能の解明を目的とする学問分野のこと。
大きな分類では自然免疫と獲得免疫があります。
前者は病原体などに対していち早く反応する生体防御機構の最前線で活躍する仕組みであり、後者は感染した病原体に対して特異的に反応する生体防御機構になります。
獲得免疫の特徴として、特異性・多様性・記憶があります。ワクチンで免疫がつくイメージです。
自然免疫と獲得免疫という区分の他には細胞性免疫、液性免疫といった区分もあります。
近年発見が多く、これからも新しいことがどんどん発見されていくであろう分野です。
免疫学の教科書
大学で紹介された教科書や同級生が使っていた教科書を簡単に紹介します。
休み時間の免疫学
免疫学の勉強を始めるのにあたってベースを築くのに最適な教科書。コンパクトにわかりやすく書かれており、どの細胞に対する説明なのかも丁寧に書かれています。上記のように入門で用いるのに最適ですが、一通り勉強し終わったあとに知識を整理するのにもちょうど良い一冊です。同級生の多くも利用していました。
エッセンシャル免疫学
大学で薦められた一冊。図が多く用いられており、解説が丁寧なので非常にわかりやすいです。免疫学を理解するためには、図を用いた解説が必須なので、その点をよく押さえていると思います。また学部レベルの免疫学はこれ一冊で必要な知識が十分得ることができます。時間があるときにもう一度読み直したい一冊。
分子細胞免疫学
詳しさでは今まで紹介した教科書の中ではNo.1。世界中で使われているそうですが、同級生でこちらを購入しているのは少数派でした。
免疫学の勉強法
まずは基本となるT細胞・B細胞についての知識を得る
免疫学はまずT細胞、B細胞の分化や受容体に関する知識を抑えたあとに、ある程度分野に分けて勉強するのがよかったです。
受容体の構成、VDJrecombinationやJunctional diversityといったTCRやBCRの多様性獲得、T細胞に対する胸腺での正の選択・負の選択、胚中心でのB細胞のクラススイッチや体細胞突然変異、増殖、親和性成熟、MHCといった知識です。
自然免疫・獲得免疫について理解
これらを理解したのちに、自然免疫・獲得免疫について理解を進めました。
自然免疫ではTLRで病原体を認識したあとに、どのような流れでNK細胞などが活性化されるのか、獲得免疫につながるのかなどをフローチャートを作成して知識を整理すると理解しやすいです。
樹状細胞によるCD4T細胞の活性化、活性化したCD4T細胞によるCD8T細胞やB細胞の活性化も、その活性化にはどのような分子、補助刺激、サイトカインが必要なのかも図にまとめれば、簡単に覚えることができました。
IL-2,4,6、IFNγなどの重要なサイトカインの役割も表にまとめて覚えたのもよかったです。
免疫寛容は中枢性・末梢性で整理
免疫寛容については、中枢性・末梢性で整理しました。
中枢性では骨髄・胸腺でどのようなことが行われるのかさえ覚えておけば問題ないでしょう。
末梢性では、どのようにアポトーシスやアナジーに誘導されるのかをTregやCD4T細胞の役割を押さえてまとめれば、スムーズに理解することができます。
自己免疫疾患はとりあえず暗記に徹することが大切
自己免疫疾患については流れよりも、まず覚えることが大切でした。特にアレルギーの分類などは覚えないと始まりません。Ⅰ~Ⅳ型のそれぞれで、どの分子がどういった影響を及ぼして炎症を起こしているのかを押さえておくと良いです。
受容体でサイトカインなどを認識したのちの、シグナル伝達機構も複雑で覚えるのが大変でした。ただこちらは試験には出題されなかったので、そこまで必要とされていない知識なのかもしれません。
免疫学の試験は細胞の役割を押さえて、免疫機構の流れさえ理解していれば難なくパスできる試験でした。
まとめ
免疫学の勉強では流れを理解するためにも図で整理することが大切です。
多少複雑ですがどの細胞がどんな役割を持っているのかを覚えてしまいさえすれば、あとはそれほど苦労することはないと思います。
免疫学は今後も新しい発見が続く分野だと思いますので、しばらくは注目しておきたいです。