医学科講義

【講義】基礎医学の復習-生理学:細胞生理学まとめ-

こんにちは、yuです。

2回生で学習した生理学ですが、知識があやふやなので適当に分野を分けて復習を兼ねてまとめてみます。では今回は細胞生理学についてまとめます。

細胞内液・細胞外液のイオン組成

細胞内液と細胞外液のK+・Na+のイオン組成は対照的。

細胞内液

K+が高く、Na+が低い

細胞外液

K+が低く、Na+が高い

イオンチャネル

イオンチャネルはゲートによって開閉が調節され、通過させるイオンは選択的。

選択の要素としてはイオンの電荷・サイズといったものがある。

イオンチャネルには電位依存性チャネルとリガンド結合型チャネルの2種類がある。

電位依存性チャネル

ゲートの開閉が膜電位の変化によって調節される。

例:脱分極によってゲートが開く。

リガンド結合型チャネル

ゲートの開閉がチャネルに結合するリガンドによって調節される。

リガンド:ホルモン、神経伝達物質、セカンドメッセンジャーなど。

膜電位

静止膜電位

静止膜電位:細胞が興奮していない状態で細胞膜を隔てて存在する電位差。興奮性細胞の場合、-70mV~-80mVの範囲にある。

静止膜電位が生じる機構

Na+ポンプによりNa+を細胞外へ、K+を細胞内へ能動輸送

K+の濃度勾配発生【細胞内のK+濃度>細胞外のK+濃度】

K+が濃度勾配に従い、K+リークチャネルを通って細胞外へ流出

負の膜電位となり電位勾配発生【流出時にK+と結合していたマイナスイオンが細胞内に取り残される】

電位勾配と濃度勾配によって生じるK+に対する駆動力が釣り合うまで、K+が移動

見かけ上K+が移動しなくなった時の電位がK+の平衡電位。静止膜電位はK+の平衡電位に極めて近い。

活動電位

活動電位:興奮性細胞にみられる現象で、脱分極と再分極からなる。情報伝達の基本メカニズム。

活動電位の特徴

・決まった大きさと形

同様の細胞では正常な活動電位は同じで、同じ電位まで脱分極し、同じ電位まで過分極する。

・非減衰性

隣接する細胞にも脱分極を引き起こして閾値まで電位を高めるので、活動電位は非減衰性に伝播する。

・全か無かの応答

発生する・発生しないかのどちらか。

活動電位発生時の電位の経時変化

閾値以上の電位に脱分極

電位依存性Na+チャネルが開き、Na+が濃度勾配・電位勾配に従ってNa+が細胞内に流入(内向き電流の発生)。上昇相の形成。

電位依存性Na+チャネル不活性化・電位依存性K+チャネルが開く(外向き電流の発生)。下降相の形成。

後過分極後に、通常の静止膜電位に復帰。(後過分極はK+が通常よりも透過し易いことにより発生。)

不応期

正常な活動電位を発生させることができない期間。

絶対不応期

閾値が無限大に大きくなり、どれだけ大きな刺激を加えても活動電位を発生させることができない期間。脱分極後に電位依存性Na+チャネルが閉じているため生じる。

相対不応期

通常よりも相対的に閾値が大きくなっている期間。絶対不応期の終わりとともに始まり、電位依存性K+チャネルが開いているために生じる。

活動電位の伝導

脱分極の伝播

軸索興奮部が脱分極して活動電位を発生

隣接する未興奮部位へと局所的な電流が流れる

未興奮部位が興奮し、脱分極して活動電位を発生

なお、ひとつ前の未興奮部位は絶対不応期となっているため興奮は伝播しない。(順行性に伝導)

伝播速度に影響を与える因子

・神経の直径

増加すると神経の断面積が大きくなり、内部抵抗が小さくなる

伝播速度が速くなる

・有髄化

絶縁体であるミエリンが軸索に巻き付くことにより、跳躍伝導をする

伝播速度が速くなる(有髄化されていない神経と比べて)

跳躍伝導ではランビエの絞輪と呼ばれる部分を伝導する

シナプス伝達

シナプスのタイプ:電気的シナプス・化学的シナプス

神経筋接合部での伝達

活動電位がニューロン末端まで伝播

ニューロン末端の電位依存性Ca2+チャネルが開き、Ca2+がシナプス前終末に流入

シナプス前終末内のシナプス小胞が細胞膜に融合し、シナプス小胞内のアセチルコリンがシナプス間隙へ放出

アセチルコリンが終板にあるアセチルコリン受容体に結合

終板のNa+チャネル・K+チャネルが開き、Na+が流入・K+が流出

終板が脱分極し、終板電位が発生

脱分極がT管に沿って筋線維内部に伝播

シナプスにおける入力の統合

空間的荷重

複数のシナプス入力が同時期に到達すると生じる。興奮性入力どうし、抑制性入力どうしであれば、より大きな入力となる。興奮性入力と抑制性入力が組み合わされると打ち消しあった入力となる。

時間的荷重

シナプスによる入力が短い時間間隔で入力される場合に生じる。空間的荷重と同様により大きな入力や打ち消しあった入力となる。

骨格筋の収縮

刺激が連続して入力されると単収縮ではなく、強縮する。(小胞体がCa2+を取り込むのに時間がかかるため)

等尺性収縮

【全張力】=【受動張力】+【活動張力】

等張力性収縮

後負荷が0で短縮速度が最大

興奮収縮連関

<活動電位を収縮力に転換する機構>

脱分極がT管に沿って筋線維内部に伝播

電位感受性ジヒドロピリジン受容体の構造変化により、リアノジン受容体が開放

筋小胞体内のCa2+が細胞内へ放出、Ca2+の細胞内濃度が上昇

トロポニンCにCa2+が結合し、トロポニンが構造変化

アクチンのミオシン結合部位が露出し、連結橋サイクルが始まる

連結橋サイクル

ミオシン頭部にATPが結合していない:硬直状態

ミオシン頭部にATPが結合:ミオシンがアクチンから解離

ATPがADPとリン酸に加水分解:ミオシン頭部が屈曲

リン酸が遊離(ADPは結合したまま):屈曲したミオシン頭部がアクチンと結合

ADPが遊離:屈曲を解放して硬直状態に戻る

平滑筋の収縮

単元性平滑筋:ギャップ結合があり、統合した収縮

多元性平滑筋:細胞間の連絡はほとんど無いか、無

興奮収縮連関

平滑筋細胞膜が脱分極し、活動電位の発生

電位依存性Ca2+イオンチャネルが開き、細胞内Ca2+濃度が上昇

Ca2+がカルモジュリンと複合体を形成し、ミオシン軽鎖キナーゼに結合して活性化

ミオシンをリン酸化して、連結橋を形成⇒張力発生

Ca2+濃度が減少するとミオシンは脱リン酸化

掛け金橋で張力を保つが、細胞内Ca2+濃度がCa2+-カルモジュリン複合体を形成するのに必要なレベル以下に低下すると弛緩

Ca2+増加メカニズム

電位依存性Ca2+イオンチャネル

筋細胞膜上にあり、細胞膜が脱分極することにより開く

リガンド結合型Ca2+イオンチャネル

筋細胞膜上にあり、Gタンパク質を介してホルモンや神経伝達物質と相互作用して開く

IP3結合型筋小胞体Ca2+イオンチャネル

ホスホリパーゼCがPIP2をIP3とDAGに加水分解し、IP3が筋小胞体のCa2+放出チャネルを開く

まとめ

輸送や神経伝達物質などの項目は省きましたが、これらでだいたいの一連の流れを復習することができました。

細胞生理学はすべての生理学に共通する基本原理なので、基本的な事項はこれからもたまに復習していこうと思います。

 


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